春の七草

せり・なずな・ごぎょう・はこべら・ほとけのざ・すずな・すずしろ。
百人一首でも出てきますね。「君がため春の野に出て若菜つむわが衣手に雪はふりつつ(光孝天皇)」

後ろ二つは作物ですが、他はポピュラーな雑草で、ちょっと郊外に出れば普通に見ることができます。
もっとおいしい山菜はたくさんありますが、昔を偲んで七草ウォッチングを楽しんで
みるのもいいかなと思います。


セリ

Oenanthe javanica

セリ科・セリ属

写真

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2008/01/13
スーパーでもたまに見かけることがあります。
なぜか今回一番見つけるのに苦労しました。
よく似たドクゼリという猛毒植物がありますが、根(地下茎)がワサビ状で太いので区別できます。
ドクゼリは北方系で、関東以西ではほとんど見られません。
また四国には分布しないようです。

セリ科特有の香りがあります。ミツバより野趣あふれる感じですね。

ナズナ

Capsella bursa-pastoris

アブラナ科・ナズナ属

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2008/01/05
ぺんぺん草も生えない、のぺんぺん草です。
霜があまり降りない暖かい地方では、12月から花が咲いています。
そういう場所のナズナは堅いです。
関東平野では写真のようなロゼットで冬を越します。霜が当たると柔らかく
甘くなります。

アブラナ科の野草としては苦味も辛味も少なく食べやすい草です。
見た目は悪いですが。

ハハコグサ

Gnaphalium affine

キク科・ハハコグサ属

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2008/01/05
七草の「ごぎょう(おぎょう)」です。
黄色い花が咲くかわいらしい雑草です。花はドライフラワーにすることがあります。
ヨモギを餅草として使う前はこの草やキツネアザミ、オヤマボクチなどを使って
いたそうです(後ろ2種は今でも使うことがあるみたいですね)。
実際食べてみるとモソモソしておいしくない草です。食用では七草粥以外の利用法は
ないと言っていいでしょう。
何のために敬称の「ご」がつくのか、理解に苦しむ草です。皮肉かもしれませんね。

近縁種に同属のチチコグサ、チチコグサモドキなどがありますが、不快臭があり堅く
食用にはなりません。

ハコベ属の一種

Stellaria sp.

ナデシコ科・ハコベ属

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2008/01/15
七草の「はこべら」です。
ハコベはきわめてよく似た種類がいくつかあり判別が難しいです。これはおしべが
2〜3本なのでコハコベS.mediaだと思います。
学校の鳥やウサギの餌で摘んだ経験のある方も多いと思います。
みずみずしくおいしそうですが、多少青臭さや泥臭さがあります。

コオニタビラコ

Lapsana apogonoides

キク科・ヤブタビラコ属

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2008/01/11
七草の「ほとけのざ」です。
まったく同じ和名のシソ科のホトケノザLamium amplexicauleという雑草がありますが
そちらは不快な臭気があり食べられません
(有毒との説もありますが、おそらく無毒でしょう)。
たまにテレビなどでも誤って紹介されていることがあります。
ホトケノザとコオニタビラコは生育環境がかなり違うので、通常混生することはありません。コオニタビラコは田んぼにゲンゲ(レンゲソウ)、スズメノテッポウなどと混ざって生えます。ホトケノザは庭や駐車場、乾いた畑などを好みます。

本種は野菜のレタスに近い植物です。味は苦くて香りがよいわけでもなく、特においしい
野草というわけでもないです。

※よく似た草にオニタビラコがあります。庭や空き地など、本種よりも人の手が入った
ところが好きなようです。
オニタビラコも食用になりますが、味はコオニタビラコに劣ります。
日向の紫のやつは猛烈に苦いです。天ぷらが無難でしょう。
(2008/02/06追記)

カブ

Brassica rapa

アブラナ科・アブラナ属

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2008/01/04
七草の「すずな」です。
あまり馴染みがなく、一番撮影に苦労するかと思ってたのですが、意外に栽培している
畑が多くて少し驚きました。こんな葉をしてるんですね。
ごくまれに逃げ出して野生化していることがあります。

ダイコン

Raphanus sativus

アブラナ科・ダイコン属

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2008/01/17
七草の「すずしろ」です。
青首、聖護院、練馬、桜島、二十日大根などさまざまな品種があります。
共学の高校や女子高の近くでも2本セットをよく見かけます(笑)。

野趣を求めるなら、海の近くにお住まいの方はハマダイコンを見に行っても
いいでしょう。ハマダイコンも基本的に同種で、畑に植えるとダイコンに
戻るそうです。

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