一般に「菜の花」と呼ばれているもの(アブラナ科Brassica属)は、あちこちで野生化 し、冬から春にかけて黄色の花を咲かせています。また若葉やつぼみを摘んで食用にも できます。 これは元を質せば畑で栽培していた野菜が逃げ出したものが多いですが、花が咲くと どれも同じような菜の花でも、若葉(ロゼット)のうちは、親を偲ばせるものがあって この菜の花の親は何かなと想像してみるのも楽しいものです。 (2015/5/12加筆) 国内に野生化している「菜の花」は主に3種類、セイヨウカラシナB. juncea セイヨウアブラナ B. napus アブラナ(ラパ)B. rapa の3種類(系統)が存在しているようです。 このうちセイヨウカラシナはクロガラシB. nigraとアブラナの、セイヨウアブラナは カンラン類(キャベツなど)B. oleracea とアブラナの雑種由来です。 アブラナは特に変異が多く、コマツナ、ハクサイ、ミズナ、カブなどは皆アブラナの品種です。 また、もともと同じ種類なのでこれらは容易に交雑します。 |
アブラナBrassica rapa系の菜の花ミズナとコマツナの雑種と思われる個体。 同一個体の花です。 こちらはハクサイとコマツナの雑種と思われます。 同一個体の花です。 アブラナ(rapa)種(ハクサイ、コマツナ、ミズナなど)の花期は、他の菜の花に比べると1ヶ月弱ほど 早いようです。 セイヨウアブラナBrassica napus系の菜の花多摩地域西部などで「ノラボウ菜」と呼ばれている野菜か、それの交雑種です。 関東でよく見られる「カキ菜」の一種です。 カキ菜自体はセイヨウアブラナ系とセイヨウカラシナ系の2種類があるものと思われます。 セイヨウアブラナの食用に改良された品種がノラボウ菜です。 見た目はグリーンが濃くてブロッコリー(後述)かケールのようです。 セイヨウカラシナBrassica juncea系の菜の花川原でよく見かけるタイプ。セイヨウカラシナかその交雑種と思われます。 葉が毛むくじゃらで堅く、ダイコンのようです。苦味も強いです。 神奈川県相模原市(旧相模湖町)で撮影。 これもいわゆる「カキ菜」の一種だと思いますが、地域差がありますね。 コンクリートの隙間に生えた「ど根性ダイコン」が一時期話題になりましたが、アブラナ科 の野菜は丈夫なので、このように雑草的に生えていることはけして珍しくありません。 |
対照比較。ブロッコリーの若い株。 こちらはコマツナです。 キャベツです。学名上はブロッコリーと同種です。 こちらはミズナ。 ハクサイです。 カブです。アブラナの変種とされています。ダイコンとは別属。 |