ドジョウ・ナマズ類

ドジョウ科、ナマズ目などコイ科以外の骨鰾類です。

採集場所で撮影したものや飼育している(していた)ものです。
※〜県=現地撮影 〜県産=水槽撮影です。

最終更新:18/9/20


コイ目

ヒガシシマドジョウ

Cobitis sp.

ドジョウ科・シマドジョウ属

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2008/撮影日不明 東京都多摩川水系

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2017/6/4 東京都多摩川水系

関東のシマドジョウはやや小型ですが、多摩川水系ではたまに10cmくらいの個体も見られます。
他の地域のシマドジョウと比較して飼育しやすい気がします。ごく普通に見られます。
多摩西部では主に「スナメ」と呼ばれ、汁物などにして食べると聞いたことがあります。本種はまだ食べていませんが、トサシマドジョウ(規制前)を唐揚げにして食べたことがあります。淡白で旨味があり、一緒に食べたカワヨシノボリよりずっと美味しかった記憶があります。栃木県で本種は好んで食されるそうですが、タンパク源が貴重だった時代は関東各地で食べられていたのではないでしょうか。

ドジョウ種群

Misgurnus anguillicaudatus

ドジョウ科・ドジョウ属

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おそらく中国系統
2017/5/25 東京都多摩川水系

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中国系統(左)と韓国系統(右)?
背びれ分枝鰭条数は通常6本か7本でキタドジョウ(5〜6本)と重複する
左個体は7本、右個体は6本。多摩川水系では7本の個体が圧倒的に多い。関東では中国系だけでなく韓国系も広く定着している。韓国系は外見が日本系に酷似し、6本の個体が多いため、6本=在来とはならない
2018/8/8 東京都多摩川水系

ドジョウクレードBと呼ばれていた種類です。マドジョウと呼ばれることもあります。
日本・韓国の系統と中国の系統は遺伝的に大きく異なります。学名のM. anguillicaudatusは中国系統に与えられている学名のようです。

「日本のドジョウ」によると、写真の個体の採集場所はキタドジョウの分布域にも入っていますが、今のところそれらしき個体を採集したことはありません。
日淡会で伺った話によると、ドジョウとキタドジョウは頻繁に交雑し、生殖隔離がある一部の生息地を除いて分類学的に別種として分けるのは不可能のようです。

カラドジョウ

Misgurnus dabryanus

ドジョウ科・ドジョウ属

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2017/10/9 山梨県富士川水系
図鑑などでは山梨県には分布(移入定着)しないことになっていますが、いました

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後ろはドジョウ
多摩川水系ではあまり見かけない魚です。放流由来なのか、定着しているが個体数が少ないのかは不明
2018/8/8 東京都多摩川水系

外来ドジョウで中国や朝鮮半島原産です。
古い文献では属名Paramisgurnus、種小名mizolepisが用いられることもあります。使われなくなった経緯については不明ですが属の統合やシノニム扱いによるものだろうと思います。

尾柄が太く、上がキール状になっています。これは個体によって差があり、上写真の個体はあまり目立ちません。脂ビレのように見えますが個体発生的にこれは脂ビレではなく、キール状突起と尾びれ前部鰭条が重なったものです。海外のフクドジョウ科にも同じようなキール状突起を持つものがいます。

ナマズ目

ギギ

Tachysurus nudiceps

ギギ科・ギバチ属

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これでもか、というほど普通のナマズです。
ナマズ目の魚の平均をとっていったらこんな魚になるでしょう。
むしろ、和名ナマズ(マナマズ)のほうが、ナマズ目の中では異端的な体型をしています。
飼育は容易ですが、極めて気が荒く、混泳はまず無理です(大型個体は人間にすら向かってくるそう)。

日本産ギギの中では一番人擦れしますので、60cm1本を丸々与えてやってもいいでしょう。

アカザ

Liobagrus reinii

アカザ科・アカザ属

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2005/2/? 高知県M水系
クレード1と思われる個体。分布域にあたる河川で採集
詳しく言うとあれですが、高知でクレード1の分布する河川は2水系しかありません…

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渓流から中流、用水路などにいる赤くてかわいいナマズの仲間です。
意外にいろんなところで見かけます。
高水温に弱いといわれていますが、個体群によっては30度ぐらいまでなら特に問題ない系統もあるようです。
水槽は45cm以上。餌は冷凍アカムシをメインにするといいでしょう。
砂にはあまり潜りません。隠れ家は石よりも流木や市販の土管型シェルターが適しています。

多摩川水系では、本流および支流のA川などで定着しています。2000年代は採集報告が多かったですが最近は減少傾向にあるように思います。ちなみに私はまだ本種を多摩川水系で確認していません。
国内のアカザは細かい明色斑のあるクレード1とほぼ無地のクレード2の大きく二種類に分けられるとされています。両者は遺伝的にほぼ別種ですが、学名のアカザがどちらに当たるかは不明です。
岩手県では移入であることが判明したようです。DNAの分析だとフォッサマグナ以東の本州太平洋側は移入の可能性が高いと聞いたことがありますが、利根川水系では地方名もあることから在来である可能性もあります。分布パターンはヤリタナゴとよく似ています。
多摩川水系の個体群は近畿の系統と同じであることが判明しており、2000年以前では本流・支流ともほとんど採捕報告がなく、移入と考えられます。
少なくとも千葉県と東京都は移入の可能性が極めて高い、神奈川県の個体群も県RDBで在来と言われていますが移入の可能性がかなり高いと私は考えています。

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