その他の淡水生物

エビやカニ、水生昆虫など魚以外の水生動物です。

採集場所で撮影したものや飼育している(していた)ものです。
※〜県=現地撮影 〜県産=水槽撮影です。

最終更新:18/5/28


ヌカエビ

Paratya improvisa

甲殻類十脚目抱卵亜目・ヌマエビ科・ヌマエビ属

写真
2017/6/4 東京都多摩川水系
中部地方以東でポピュラーな淡水エビです。長らくヌマエビの亜種扱いにされていました。
そもそもヌマエビ(観賞魚店でミゾレヌマエビという名前でおなじみのエビ)とヌカエビは生きている状態ではあまり似ていませんが、どうやら標本にするとほとんど区別できなくなるために混乱していたようです。
卵の大きさはヌマエビやヤマトヌマエビ(小卵型)とカワリヌマエビ属やビーシュリンプ類(大卵型)のちょうど中間で、一生を淡水で過ごします。水槽内で繁殖も可能ですが、いわゆるミナミヌマエビよりずっと難しい印象です。

ヌカエビは写真を見てもわかる通り特に目立った模様もない地味なエビですが、胸部、足の付け根の直上あたりに富士山型というか台形の暗色斑があることで他のエビと容易に見分けられます。上の写真でもはっきり確認できますね。

本種を含め、ヌマエビ類はスジエビやテナガエビ類同様、唐揚げなどで食用にすることができます。スジエビなどと比べると味が濃いですが環境によっては苦味や臭みが強く食用としてはあまりメジャーではありません。
個人的にザリガニ類を除く日本の淡水エビではヒラテテナガエビがもっとも美味だと感じました。なお、一番美味しくなかったのがヤマトヌマエビです(といってもどれも基本的に似たり寄ったりな味ですが…)

後述するカワリヌマエビ属の外来種が導入された水域では本種は駆逐されるのか全く見られません。まだまだ生息地は多いですが、今後が心配なエビです。

カワリヌマエビ属の一種

Neocaridina denticulata subsp.

甲殻類十脚目抱卵亜目・ヌマエビ科・カワリヌマエビ属

写真
2006/12/? 京都府琵琶湖淀川水系
ミナミヌマエビの自然分布域にあたる河川で採集。在来系統の可能性もありますが斑紋の特徴は外来っぽいような

写真
2017/5/24 東京都多摩川水系
こちらはミナミヌマエビの分布域外の関東産。仮にミナミヌマエビだとしても外来種ですね

「ミナミヌマエビ」としてコケ取り用に熱帯魚店で市販されていたり、釣り餌などにされているヌマエビ類です。中国原産と思われます。私が初めて確認したのは2012年頃です。多摩川水系では在来のヌマエビ科はヌカエビのみですが、本種は着々と分布域を広げているようで、すでにいくつかの地点でほぼ置き換わっています。

外来生物といえば、多摩川流域では2010年代初めまでオオバコ科のカワヂシャがごく普通に見られましたが、一昨年ぐらいには近縁種で特定外来生物のオオカワヂシャ(正確には両者の雑種と思われます)にほぼ置きかわり、たった数年でカワヂシャは絶滅したのではないかと思うほど全く見かけなくなってしまいました。ヌカエビがそうならないことを祈っています。

コケ取り用として扱われていますが、個人的にはほとんど効果はないと感じます。むしろ簡単に増えてかわいらしいので愛玩用でしょうか。外来生物であることを考えなければ非常に良いペットです。

戻る